日 時 平成10年9月16日(水) 11時
技術・家庭科学習指導案  生 徒 第1学年2組  男子20名 女子18名
                    場 所 3階 コンピュータ室、かでる2・7
                    指導者 札幌市立八条中学校 教諭 浅井 信孝
                        教諭 佐々木 利彦 教諭 目時 真規
                        

T 領域・題材

 領 域 「情報基礎」「木工」

 題 材 「第三角法による製図」

 

U 授業構築にあたって

学習指導要領の改訂に関し、小,中,高等学校段階を通じてコンピュータ等を積極的に活用すると明記されてている。中学校では,技術・家庭科の「情報とコンピュータ」を必修とし,発展的内容については生徒の興味・関心等に応じて選択的に履修するとなっている。コンピュータの整備についても平成12年度以降の整備計画ではコンピュータ教室に加え,普通教室,学校図書館等にも配置し,校内をネットワーク化、校務の情報化を進めるために保健室,進路指導室,職員室等にも設置とあり、学校現場のネットワーク化が今後急速に進展することが予測される。インターネットへの接続に関しては、平成13年度までにすべての中学校に導入される計画があり、学校と外部の接続という大きな環境の変化が起こるであろう。

今回の授業では、木材加工領域と情報基礎領域の融合した題材になっているが、あらゆる教科で今後、通信機器やネットワークを利用した授業が構成できるようになるであろう。すぐ近くに迫っている教育環境の変化を見越して、実験をしながら作り上げていくこととなる。借りている機材、回線、テストをする環境などの関係でこの原稿を書いている時点からも、技術や、環境の変化と同じようにこの授業の流れも日々変化していった。

 

V 本時の授業について

今回の授業は遠隔授業ということで、遠く離れた人間同士がテレビ電話やインターネットを利用すれば、あたかもすぐ近くにいるように共同作業ができることを生徒に体験させようと考えた。この

大会の授業日時では1年生のクラスとなり、現在本校1年生は木工領域で小物入れを製作中である。マルチメディアを使った遠隔授業の実験ということで、題材は何でも良かったのだが、生徒が普段の学習した知識を生かして授業に取り組ませたかったので、木工製作の前に学習した製図の応用ということにした。情報基礎に関しては1学期に4時間ほど、簡単にオリエンテーションをしているだけなので、あまり情報機器には慣れていない状況である。2学期に入り、マウスの操作、窓の操作、ファイルの保存呼び出し、閲覧ソフトの基本操作についての練習を行いこの授業につなげることとなった。

授業者も遠隔授業ははじめてのことであり、実際の機器操作や、設置作業を通して授業を組み立てざるを得ず当初の予定以外の機材や作業が必要となることが多かった。授業の準備よりも多方面の調節作業(学校内、連盟、機器設置、いろいろ連絡)にばかり時間をとられ、話のあった7月終わりから現在に至っている。

 

W 視聴覚機器を活用して、生徒のよさを生かす学習展開の工夫

今回の授業の特徴は大きく3つある。

 一つはフェニックス(テレビ電話)の活用である。フェニックスを利用することにより音声と画像をリアルタイムで双方向に通信できるので生徒の表情をみて、授業の流れを変えたり、生徒と教師がお互いの顔を見ながら話をするというような教室内ではあたりまえに行われていることを通信線があれば距離に関係なく行うことができることを実証する。

 二つ目は、遠隔操作機機の活用である、TCP/IPで制御できるカメラを使うことにより、地球上どこにいても目的とする教室の必要な映像をとらえることができることとなった。そして、PC−SEMIを遠隔操作することにより、あたかも教室内で教えているように、生徒側のコンピュータに必要な画像を提供したり、生徒の画像を見合ったり、質問のある生徒と直接会話できることとなった。離れたところで生徒の画面を見る手だてとして、ウインシェアを活用しているこれを使うことにより製図のような細かい画像も多少の書き換え時間がかかるがそのままの画質で見ることが可能となった。今後のコンピュータ教室内の10ベース100化などに伴いソフト的な画像転送が増えていくと思われる。 

 三つ目はwebの活用である。今回は電子教科書をweb上に置きその教科書を活用することとした。web上に教科書を置くことにより、生徒が使う教科書をいつでも最新の状態にして授業をすることが可能になる。また、web上から授業の感想を生徒に記入させることにより迅速に生徒の疑問に答えることも可能になる。

 四つ目は授業の計画、構築に第50回技術・家庭科研究札幌大会URL:http://onko.ncf.or.jp/gizyutu/

のインターネット推進委員会によるメーリングリストの活用である。このシステムを活用して、札幌市内の人だけでなく標茶町の先生とも会議を開き情報交換をすることによりこの授業を計画することができた。本時の指導案はURL:http://onko.ncf.or.jp/enkaku/index.htmで添削してもらった。

 

X、さいごに

マルチメディアを教育に活かすには機材の整備や設置運用のノウハウ蓄積が大切で今後、学校、公共機関、研究機関、コンピュータメーカー、プロバイダー、通信会社の連携がどんどんされなければ実現はできないとよくわかりました。また、そんな中での障害は身近なところでおこりやすいとわかりました。今回の授業をするにあたり、多数の方々の協力があったことに感謝したいと思います。