機 械 領 域 
   機械領域における機械制御の学習指導への活用と
             それを利用した学習材を考える

                   札幌市立藤野中学校  教諭  五十嵐 淳 元 
 





 

 

T はじめに

 

 技術・家庭科の目標として,「生活に必要な基礎的な知識と技術の習得を通して,家庭生活や社会生活と技術とのかかわりについて理解を深め,進んで工夫し創造する能力と実践的な態度を育てる。」と総括的に示されている。

 これは,社会の変化に主体的に対応できる人間の育成を目指して,生活に必要な基礎的な知識と技術の習得を第一の目標として,家庭生活や社会生活と技術のかかわりについて理解を深めさせ,生活の充実向上を図る能力と実践的な態度の育成を究極の目標にしているためである。このことは,先に述べたとおり技術・家庭科の目標であるのだから,その技術・家庭科の一領域である機械領域においても例外ではない。

 そのことをふまえた上で,現在の私たちの生活に目を向けてみると,私たちは日常的に機械を使うことによって仕事を能率的に,素早く,正確に,適切に行うことができる。また,高集積化されたマイクロコンピューターの登場により,それらが組み込まれた多機能で完全に自動化された多くの機械類が一般家庭にも普及している。一例を挙げるとしたら,自動車の電子制御システム,洗濯機などの機械要素を含んだ電気製品,産業用機械ロボットなどがそれにあたる。このように日常的に,いたる所,あらゆる場所で,機械が大型コンピューターやマイクロコンピューターなどによって制御されているのが現実社会なのである。

 このように機械を取り巻く社会の変化が起こっているならば,当然,機械領域においてそれに向けて主体的に対応できる人間の育成をはかる必要が生まれてくるわけである。そこで,どのような方法で機械領域の学習の中にそれらことを生かしていくかを考察してみようと思い,研究を始めてみた。しかし,研究期間が短いため,研究実践が不十分な部分もあり,実践力に乏しい部分もあり,

現時点では,一考察であることを理解して欲しい。

 

U 研究のねらい

 

 1.機械領域の目標とのかかわり

  現行の指導書には,「簡単な動く模型の設計 と製作や機械の整備を通して,機械の仕組みや エネルギーの変換と利用について理解させ,機 械を適切に活用する能力を養う。」(文部省中 学校指導書 抜粋)とある。これをふまえて, 「機械制御」の分野を「簡単に動く模型の設計 と製作」の中に位置づけるとしたならば,それ を題材(教材)として扱うことができるだろう し,「機械の仕組みの理解」や「機械を適切に 活用する技能」として位置づけるとしたならば, 教具として扱うこともできる。

  いずれにしても,「機械制御」の分野の内容 をより有効な学習材としての利用という位置づ けで研究を進めていきたい。

 

 2.機械領域の内容とのかかわり

  「機械領域」の目標を達成するために,以下 の四項目の内容がある。







 

@ 機械の機構と機械要素及び機械材料
A 簡単な動く模型の設計と製作
B 機械の整備の方法
C 日常生活や産業の中で果たしている
  機械の役割
 

  「機械の制御」の分野は,社会の変化に伴い, 「日常生活や産業の中での機械の変化」として 位置づけることが望ましいと考える。特に,現 在における産業界でのコンピューターによる機 械制御は,産業用ロボットにも象徴されるよう に,ここ数年は飛躍的な進歩を遂げている。そ れゆえ,この「機械制御」の分野は,「機械」 にとっては切っても切れない関係にあると言え よう。

 

 3.指導項目とのかかわり

  現在,使用している教科書での指導項目は以 下の通りである。







 

 @ 機械と生活
 A 機械の構成
 B 動く模型の設計と製作
 C 機械の点検と整備
 D 機械の利用
 






 

  この中に,「機械制御」の分野を組み込むと したならば,








 

@ 機械と生活
A 機械の構成
B 機械の制御
C 動く模型の設計と製作
D 機械の点検と整備
E 機械の利用
 







 

  といった位置づけになると考えられるだろう し,指導項目の新設ができなければ,いくつか の項目に含み込むこともできるであろう。

 

 4.指導目標とのかかわり

  もし,指導項目の中に組み込むことができな い場合,指導目標を考え,その項目の中に包含 してしまうことも考えられる。例えば,


 @ 機械と生活
(1) 機械と生活のかかわりについて考えさ
  せる。
(2) 簡単な道具がどのようにして機械に発
  達していったかを考えさせ,機械に関
  心を持たせる。
 

  この目標の中では,最先端のロボット工学を 紹介した視聴覚教材やインターネットを利用し た教材資料を生徒に提供するなどして,現代社 会の最先端技術の把握と機械に対しての興味・ 関心を引くことができる。この方法による実践 は,子供たちの興味・関心を高めさせ,意識づ けをするために,かなり有効な手段であった。  しかし,忘れてはならないのは,これらの情 報は次から次へと新しくなっていくので,こま めな情報収集が必要である。










 

 C機械の点検と整備
(1) 自転車やガソリン機関の点検と整備の
  必要性を知らせ,始業点検ができるよ
  うにする。
(2) 自転車やガソリン機関の分解・組立・
  調整が安全に行えるようにする。
(3) ガソリン機関の機関本体や各装置のし
  くみと働きを知らせる。
 

  この目標の中では,自転車はともかく,ガソ リン機関,特に日常生活に密着した自動車のエ ンジンは,技術の進歩が著しく,ほとんどがセ ンサーを利用したマイクロコンピューター制御 になっている。それゆえ,現在学習している知 識は,実生活の中では生かされない状況になっ ている。やはり,現実とのギャップは否めない

 のである。

 

 5.教育課程審議会改善案とのかかわり

  教育課程審議会から出された教育課程の基準 の改善にあたっての基本的考え方の第四に「教 育においては,社会の変化を見通しつつ,これ を柔軟に対応し得る人間の育成を期する必要が ある。」と述べている。これは,次代を担う子 供たちにこれからの社会の変化を見通し,その 変化に適切に対応できる力を身につけさせると いうことである。情報化,科学技術の進展など, 社会は今後一層の激しい変化が予想される。そ の中で主体的・創造的に生きていく力を身につ けることにある。そういう点においては,技術 ・家庭科は実生活との関連が深く,体験的な学 習ができる教科である。

  しかし,この教育課程審議会改善案の「各教 科・科目等の内容」において,技術・家庭科は, 第三学年で現行の単位時間からは大幅に削減さ れているという現状にある。さらに,いくつか の領域の厳選・統合・改善をも含んでいる。そ れは,この機械領域も例外ではなく,厳選例と して「整備の目的に応じた分解と組立て」の内 容の取り扱いが行き過ぎになりがちであるとの 指摘もある。

  そういった技術・家庭科を取り巻く現状の中 で,この機械領域が生き残るためには,他領域 との融合。つまり「情報との融合」それはまさ に「コンピューターによる機械の制御」という 内容のことである。それを組み込み,共に生き るといったことが,今後,望まれる姿と考える。

 

 以上の事柄をふまえた上で,当面は,「機械の制御」分野の位置づけを模索するとともに,「機械の制御」を学習材として利用する方法を研究していこうと考えた。また,今後,指導計画の中での位置づけの研究を進めていきたい。

 

V 研究内容と実践

 

 1.機械の制御について

  一方,機械について目を向けていくと,機械 は以下の五つの部分に分かれる。








 

 機械を構成している五つの部分
  @ 動力部
  A 伝達部
  B 作業部
  C 操作部
  D 固定部
 







 

  機械の制御はこれらの各部をどのようにコン トロールしていくかで決められると言えよう。

  ここ数年でマイクロコンピュータは,驚く  ほどのスピードで私たちの身近に普及してきて いる。これからもこの傾向は続くと考えられる。 その内容は一層高度なものになってくるであろ う。

  しかし,マイクロコンピュータ単体ではほと んど役に立たたない。マイクロコンピュータは 他の機器や機械と結びついて初めてその有効性 が飛躍的に高まる。

  この研究提言は,「機械の制御」の中でも高 度な「マイクロコンピューターによる機械制御」 に的を絞って研究を行い,機械領域での学習へ の利用と学習材としての形を考察していこうと 思います。

 

 2.制御のしくみ

  制御のしくみを考えると,以下の部分のいく つの部分を人間が人為的にどのようにかかわる かによって,その制御形態が変わってくると考 えられる。





 

@ 情報入力部(センサー部)
A 情報処理・判断部
B 制御部(動力部,機関部など)
 




 

 3.教材・教具としての利用

  「機械制御」を利用した教材例をあげるとし たら,以下のようなものになるだろう。

  《教材例》

  (有線型)

  @ コントローラーによる制御

  A コンピューターによる制御 

    1)プログラムどおりの制御    

    2)コンピューター処理による制御

    A)プリンター端子接続型

    B)RS232Cインターフェイス接続型

 

  (無線型)

  @ ラジコンによる制御

 

  (自立型)

  @ マイクロコンピューター処理による制御

     1)ROM搭載型

     2)RAM搭載型

  A ポケットコンピューター処理による制御

  B センサーによる制御

     1)LEDと赤外線センサー

     2)LEDとcds

                   など

  これらのものを見てもわかるように「機械領 域」の他に,「情報基礎領域」「電気領域」が 深くかかわってくることがわかる。ここで,「情 報基礎領域」にウェートをおくとしたら,プロ グラム(ソフトウエア)が重要になってくるだ ろうし,現在,はやりの「人工知能」への発展 も期待できよう。また,「電気領域」にウエー トをおくとしたら,センサー回路やドライバー 回路(電力制御出力回路)の向上に期待ができ よう。いずれにしても,これらのものを学習材 として利用しようとしたならば,いくつかの条 件をクリアしなければならないであろう。

 4.学習材としての考察

  学習材は,その働きにおいて教材と次のよう な違いを意識して用いられるものである。












 

 @ 生徒が一人で,あるいは他者との試
   行錯誤による学びを支え,自分で課
   題を見つけ,自ら考え,判断し,問
   題を解決しやすい。
 A 知識や技能の習得だけではなく,学
   び方の習得を可能にする。
 B 単に知識・技能を効率的に教えるの
   ではなく,学ぶことに対する価値観
   や必要性(学ぶことの楽しさ)を育
   みやすい。
 

  「機械領域」においての現在の題材としては 「エンジン模型の製作」や「動くおもちゃの製 作」などがあげられる。動力源としては,手動 式やゴム動力式からオルゴール(ゼンマイ)式 や電動(モーター,ギアボックス)式に変わっ てきている。「生活や技術への関心・意欲・態 度」の観点や「生活を創意工夫する能力」の観 点から,画一化した教材の製作から統一条件下 での自由発想による設計・製作へと内容も変化 している傾向にある。この「機械の制御」の研 究は,電動式のものにしか利用はできないが, 今後の「機械領域」の生き残りを考えると「電 気領域」「情報基礎領域」との融合教材という 立場は否めないものがある。

  「機械の制御」による教材は,理論としては かなり高度で難しいものがある。さしずめテレ ビゲームと同じことであろう。ゲームソフトを 開発するには高度な知識とかなりな時間を必要 とするが,そのゲームソフトはそのプログラム の製作の苦労に関係なく容易に使うことができ るようになる。同様に「機械の制御」の教材も そのように使っていくだけでよいと考える。理 論を学習するのではなく使い方を学習するとい うことに重点を置くというものである。そうす ることによって学習材としての条件をより一層 効果的に引き出すことができるのである。

 

 5.ROBO CONに学ぶ      

  1988年に始まったROBO CON 高 専部門。第1回大会は「乾電池カー・スピード レース」で始まった。スタート前10分間の準 備時間後,乾電池2個で体重60kg以上の人 を乗せたマシーンを走らせ,35メートルのコ ースでタイムを競うゲーム。これは多くの人が よく知っている現在の姿からはとても想像もつ かないような中身であった。翌年,第2回大会 「オクトパス・フットボール」から現在の原型 である対戦競技へと移行していく。

  高専部門から遅れること三年,1991年に 大学部門が始まる。内容も高専部門同様,対戦 競技である。大学部門では国際大会も行われた。  この国際大会においては,国,人種,性別に 関係なく混合でチームが組まれ,一つの目標達 成のために,言葉の壁も何のそのお互いの知恵 をしぼりあう姿があった。           高専部門も大学部門も毎年課題が変わる。そ れ故,前年度と同じものでは通じないし,同じ 作戦も通じない。毎年毎年,新しい発想が必要 となるし,マシンにも創意工夫が必要になって くる。テレビ放送でも数々の番組が組まれ,新 聞にも載っており,かなり人気が高く,知名度 がある。

  これを授業に活用して,「機械領域」の「動 くおもちゃ」の題材で有線による「機械の制御」 で校内ロボコンを実践している学校も増えてき ているようである。また,そのための競技用ロ ボット教材も販売されているようである。最近 の傾向から考えるとやはり「機械の制御」の分 野が「機械領域」に確実の入り込んできている ことがわかる。

 

 6.ジャパン・マイコンカーラリーへの挑戦

  ROBO CONに代表されるように,この ようなロボット関係の大会は,全国に数多くあ る。ここ北海道においても例外ではない。例え ば,高校生ロボット相撲大会やジャパン マイ コンカーラリーなどがそうである。いずれも北 海道大会,全国大会がある。

  高校生ロボット相撲大会では,幅,奥行きと も20cm以内におさまり,高さ自由,重さ3 kg以内のロボットを使い,直径154cmの 丸い土俵で争われる。無線操縦によるラジコン 型とコンピューター内蔵の自立型の二部門があ る。

  一方,ジャパン・ マイコンカーラリーは, マシン外形幅300mm,高さ200mm以内, 形,長さ,重量,材質についての制限はない。

 支給マイコン(H8CPUボード)を搭載した 完全自走式マシンで,コース表面に接地しなが ら走行し,電源及びエネルギー源は,単三アル カリ乾電池8本以内で,白線の引かれた幅30 0mmの黒いコース上を走らせタイムを競う。 コースには,直線,左右のカーブ,左右のクラ ンク,S字カーブ,丘,谷がある。大会の目的 は,「高校生,中学生並びに大学等の学生,一 般社会人に,マイコンカーラリーの競技を通し てロボット作りに必要な技術の基礎・基本を習 得させるとともに,技術研究の目標を立て,そ れを実際に解決する体験の機会を与え,もって 生徒・学生等の学習意欲の向上と,自発的,創 造的な学習態度の育成に資する。併せて,遊び 心を取り入れた「ものづくり」による教育を推 進し,新技術への関心と夢を育み,メカトロ技 術の向上を目指すものである。」と述べている。  部門は,一般の部・高校生の部・中学生の部 がある。このような大会において中学生の部が あるのは,全国的に見てもこの大会ぐらいであ ろう。そこで,昨年度よりこの研究の実践の手 始めとして,数人の生徒を指導・引率して,参 加してみることによって,中学生のマイコンに 対する適応を見ることにした。

(1)マシンの製作

    大きくマシンを分けると以下の部分に分   かれる。

 

   @ 車体本体部(シャーシ部)

   A 電源・CPU部

   B センサー部

   C ドライバ・駆動部

 

  (2)マシンの工夫

    マシンの一例として以下のものがあった。

 

   @ スティピングモータータイプ

     2個のモーターで左右の車輪を独立し    て制御するタイプ。確実な制御が期待で    きる反面,消費電流が大きいという欠点    をもつ。低回転使用のため,登坂能力に    難がある。

   A DCモーターステアリング操舵タイプ

     ラジコンカーを改造して,サーボモー    ターを使用することによって操舵をコン    トロールするタイプ。コーナーリングで    のステアリングコントロールに難があ     る。ソフト面でのカバーが必要。

   B DCモーター左右輪独立制御タイプ

     DCモーター版で,電流やトルク面の    問題はクリアできるが,回転制御に難が    ある。モーター及びギアボックスの選択    や工夫がカギとなる。

   C DCモーター二輪独立制御タイプ

     DCモーター左右輪独立制御タイプの    応用版。四輪にすると内輪差が生じるの    で,駆動輪を二輪にすることによって方    向転換を効率的に行うことができるよう    になった。

 

  (3)その他の工夫

 

   @ 車体の重量の軽減と車体重量バランス   A 車体の材質,形とその強度

   B ポートの割り振り

   C センサー回路の工夫

   D センサーの位置と個数

   E ドライバ回路の工夫

   F モーターとギアボックスと駆動輪の径

   G タイヤ

                    など

  (4)注意事項

    単3アルカリ乾電池だと,電流を1A以   上引き出すと電圧降下の危険性があるの    で,電流は800mA〜1Aが望ましい。   CPUボード,ドライバ回路,センサー回   路で約200mA程度消費されることが予   想される。また,DCモーター起動時に一   時的に定格の5〜10倍の電流が流れるこ   とも考慮する必要がある。

 7.結果・成果

  製作時間2週間。生徒たちは,なんの予備知 識もなく大会に参加した。基本マシンを工夫し, ソフトを調整し,試行錯誤しながら独自のマシ ンを完成させた。中学生の部 参加台数27台 と少数であったせいか結果は,堂々の第1位で あった。

  CPUボード,センサー回路,ドライバ回路 と中学生にとってはかなり難しい理論である。 プログラムもアセンブラ言語を使っているため なじみが薄くとっつきずらい。そんな状況の中 で,生徒たちは強い意欲を持って,自発的にマ シンに創意工夫を加えていった。コースを正確 に,いち早く走り抜くという目標のために,試 行錯誤を重ね,問題点を見つけ,自ら考え,問 題点を解決していく。同時に,学ぶことに対す る価値観や必要性や発展性がある。まさに「新 しい学力観」を垣間見たような気がした。

  これが授業の中に,応用できないものか,利

 用できないものか。おそらく先に述べた学校教 育の求めるものもこのあたりにあるのではない かと思う。

                      

W 研究のまとめと今後の課題 

 

 現代社会において,機械そのものが旧来の機械として純然たる存在のままの形であるものは,徐々に失われつつある。コンピューターによる機械制御の時代の流れはその形に移り変わろうとしている。最近では,通産省次世代情報処理基盤技術開発(RWC計画)で開発した「適応学習機能」を持つLSIのハードチップと生物の進化にならった計算プログラム「遺伝的アルゴリズム(演算)部」に進化する知能ロボットへの期待が高まってきている。

 一方,どんな機械もそれを構成するしくみや機械要素・機械材料は,新素材による材質の向上はあっても,発展・進化はほとんどと言ってもよいくらいない。逆に言えばどんな精密な機械も,それらのしくみや機械要素・機械材料でできているというわけである。そういう状況がいまだにずっと続いている。

 以上のことでもわかるとおり,現在の「機械」を技術・家庭科の「機械領域」で教えるときに,確かにその基礎基本となる機械のしくみや構成,機械要素や機械材料の内容は非常に大切なことである。しかし,それと同様に今後の「機械」の発展・進化を考えるときに,「機械の制御」の分野もかなり大切な部分を占めることになると考えられる。ここ数年,全国的に中学校技術・家庭科研究会の研究内容にも「機械の制御」の内容が多くとりだたされるようになってきている状況にある。 また,それだけではなく中学校技術・家庭科を取り巻く状況の中で,前述した教育課程審議会の「教育課程の基準の改善の基本方向について」の中間まとめにもあるように,教科発足以来の厳しい条件である授業時数の削減がある。現行ある各領域の生き残り,この組み込みには,物理的に非常に難しいものがある。「領域の融合と連携」。まさにこれにつきると思います。そして,この「機械領域」においては,「機械の制御」の分野を取り入れることによって,「機械領域」が今後存続していくと固く信じている。

 また,ロボコンやマイコン・カーラリーのような競技を目的に加えた製作授業の導入により,今後試行されるであろう「総合的な学習の時間(仮称)」での生き残りの可能性が生まれてくる。この「総合的な学習の時間」の活用については,今後研究していきたいと思う。

 一人一人の能力に応じた体験的学習を通して知識と技能を結びつけた「生きる力」を培うために,我々教師も「創意工夫」が必要になってきているのだと思う。