第4節 理科

第1 目標
 自然に対する関心を高め、観察、実験などを行い、科学的に調べる能力と
態度を育てるとともに自然の事物・現象についての理解を深め、科学的な見
方や考え方を養う。

第2 各分野の目標及び内容
【第1分野】
 1 目標
  (1) 物質やエネルギーに関する事物・現象の中に問題を見いだし、科学
   的に調べる過程を通して、規則性を発見したり、自然現象を説明した
   りする方法を習得させる。
  (2) 化学的な事物・現象についての観察や実験を行い、観察・実験技能
   を習得させるとともに、身の回りの物質とその変化、化学変化と原子、
   分子、イオンなどについて理解させ、これらの事象に対する科学的な
   見方や考え方を養う。
  (3) 物理的な事物・現象についての観察や実験を行い、観察・実験技能
   を習得させるとともに、身の回りの物理現象、電流、運動とエネルギー
   などについて理解させ、これらの事象に対する科学的な見方や考え方
   を養う。
  (4) 物質やエネルギーに関する事物・現象に対する関心を高め、意欲的
   に調べる活動を行わせるとともに、これらの事象を日常生活と関連付
   けて考察する態度を育てる。
 2 内容
  (1) 身の回りの物資とその変化
    身の回りの物資についての観察、実験を通して、水溶液の性質、物
   質の状態変化及び気体について理解させるとともに、物質の性質や変
   化の調べ方の基礎を身に付けさせる。
   ア 水溶液
    (ア) いろいろな水溶液を調べる観察、実験を行い、溶質による水溶
     液の性質の違いを見いだすとともに、実験器具の操作、記録の仕
     方などの技能を身に付けること。
    (イ) 物質が水に溶ける様子の観察、実験を行い、水溶液の中では溶
     質が均一に分散していること及び水に溶けていない物質を分離す
     る方法を見いだすこと。
    (ウ) 一定量の水に溶け得る物質の重さは物質の種類や水の温度によ
     って違うことを調べる実験を行い、これを利用して溶質を分離で
     きることを見いだすこと。
   イ 物質の状態変化
    (ア) 物質の状態変化についての観察、実験を行い、状態変化によっ
     て物質の体積は変化するが重さは変化しないことを見いだすとと
     もに、物質そのものは変化しないことを知ること。
    (イ) 物質が状態変化するときの温度の測定を行い、純粋な物質の融
     点や沸点は物質の種類によって決まっていること及び融点や沸点
     を利用して物質を確かめたり、沸点の違いによって物質を分離で
     きたりすることを見いだすこと。
   ウ 気体の発生
    (ア) 気体を発生させてその性質を調べる実験を行い、気体の種類に
     よる特性を見いだすとともに、気体を発生させる方法や捕集法な
     どの技能を身に付けること。
  (2) 身の回りの物理現象
    身の回りの事物・現象についての観察、実験を通して、光、音、熱、
   力及び圧力の規則性について理解させるとともに、これらの事象に対
   する科学的な見方や考え方を養う。
   ア 光と音
    (ア) 光の反射や屈折の実験を行い、光が水やガラスなどの物質の境
     界面で反射、屈折するときの規則性を見いだすこと。
    (イ) 凸レンズの働きについての実験を行い、物体の位置と像の位置
     及び像の大きさの関係を見いだすこと。
    (ウ) 音についての実験を行い、音が空気中などを伝わること及び音
     の大きさや高さは、発音体の振動の仕方に関係することを知るこ
     と。
   イ 熱と温度
    (ア) 水を加熱する実験を行い、水の温度変化は、水に加えた熱量及
     び水の重さに関係があることを見いだすこと。
    (イ) 種類の異なる物質を加熱する実験を行い、物質の温度変化は物
     質の種類に関係があることを知ること。
   ウ 力
    (ア) ばねに加える力の大きさとばねの伸びの測定を行い、力と伸び
     の関係を見いだすこと。
    (イ) 物体の質量と重さの違いについて理解するとともに、力の大き
     さは重量を基準として表すこと及び力を矢印で表すことができる
     ことを知ること。
    (ウ) 電気を帯びた物体間に働く力についての実験を行い、空間を隔
     てて互いに作用し合う力があることを知ること。
   エ 圧力
    (ア) 圧力についての実験を行い、圧力は力の大きさと面積に関係が
     あることを見いだすこと。
    (イ) 水の圧力を調べる実験を行い、水の圧力は水面からの深さに関
     係があることを見いだすとともに、空気に重さがあることを調べ
     る実験を行い、その結果を大気圧と関連付けてとらえること。
  (3) 化学変化と原子、分子
    化学変化についての観察、実験を通して、化合、分解などにおける
   物質の変化やその量的な関係について理解させるとともに、これらの
   事象を原子、分子のモデルと関連付けてみる見方や考え方を養う。
   ア 化学変化
    (ア) 燃焼の実験を行い、燃焼が酸素と結び付く化学変化であること
     を見いだすこと。
    (イ) 酸素以外の物質同士が化合する化学変化があることを実験から
     見いだすこと。
    (ウ) 加熱や電流の働きによって物質を分解する実験を行い、分解し
     て生成した物質から元の物質の成分が推定できることを見いだす
     こと。
    (エ) 化学変化の前後における物質の質量を測定する実験を行い、反
     応物の質量の総和と生成物の質量の総和とが等しいことを見いだ
     すこと。
    (オ) 化学反応に関係する物質の質量を測定する実験を行い、互いに
     反応する物質の質量の間には一定の関係があることを見いだすこ
     と。
  イ 原子と分子
    (ア) 物質は原子や分子からできていることを理解し、原子は記号で
     表されることを知ること。
    (イ) 化合物の組成は化学式で表されること及び化学反応は化学反応
     式で表されることを理解し、それらは原子や分子のモデルで説明
     できることを知ること。
  (4) 電流
    電流についての観察、実験を通して、電流と電圧との関係、電流の
   働き及び電流と電子の流れとの関係について理解させるとともに、電
   流と磁界についての初歩的な見方や考え方を養う。
   ア 電流と電圧
    (ア) 回路をつくり、回路の電流や電圧を測定する実験を行い、各点
     を流れる電流や回路の各部に加わる電圧についての規則性を見い
     だすこと。
    (イ) 金属線に加わる電圧と電流を測定する実験を行い、電圧と電流
     の関係を見いだすとともに、金属線には電気抵抗があることを知
     ること。
   イ 電流の働きと電子の流れ
    (ア) 電熱線を用いて水を熱する実験を行い、発熱量は電流と電圧に
     関係することを見いだすこと。
    (イ) 磁石や電流による磁界の観察を行い、磁界を磁力線で表すこと
     を理解するとともに、コイルの回りに磁界ができることを知るこ
     と。
    (ウ) 磁石とコイルを用いた実験を行い、磁界中のコイルに電流を流
     すと力が働くこと及びコイルや磁石を動かすことにより電流が得
     られることを見いだすこと。
    (エ) 直流や交流の特徴を示す現象の観察、実験を行い、直流と交流
          の違いを知ること。
    (オ) 真空放電などを観察し、空間にも電流が流れる場合のあること
     を確かめるとともに、電流は電子の流れであることを知ること。
  (5) 化学変化とイオン
    化学変化についての観察、実験を通して、電気分解や中和反応につ
   いて理解させるとともに、これらの事象をイオンのモデルと関連付け
   てみる見方や考え方を養う。
   ア 電気分解とイオン
    (ア) 水溶液に電流を流す実験を行い、水溶液には電流が流れるもの
     と流れないものとがあることを見いだすこと。
    (イ) 電気分解の実験を行い、電極に物質が生成することを見いだす
     とともに、この実験結果からイオンの存在を知ること。
    (ウ) 電解質水溶液と2種類の金属を用いた実験を行い、電流が取り
     出せることを見いだすこと。
   イ 酸・アルカリ・塩
    (ア) 酸とアルカリの性質を調べる実験を行い、酸とアルカリのそれ
     ぞれの特性が水素イオンと水酸化物イオンによることを知ること。
    (イ) 中和反応の実験を行い、酸とアルカリを混ぜると水と塩が生成
     することを見いだすこと。
    (ウ) 中和反応の実験を行い、過不足なく反応する酸とアルカリの濃
     度と体積の間の関係を見いだすとともに、これをイオンと関連付
     けてとらえること。
  (6) 運動とエネルギー
    運動についての観察、実験を通して、物体に働く力と運動の関係及
   び仕事について理解させるとともに、エネルギーについての初歩的な
   見方や考え方を養う。また、科学技術の進歩と人間生活のかかわりに
   ついての認識を深める。
   ア 力の働き
    (ア) 物体に働く2力についての実験を行い、力がつり合うときの条
     件を見いだすこと。
    (イ) 力の合成と分解についての実験を行い、合力や分力の間の規則
     性を見いだすこと。
   イ 物体の運動
    (ア) 物体の運動についての観察、実験を行い、運動には速さと向き
     があることを知ること。
    (イ) 物体には力が働かない運動についての観察、実験を行い、その
     物体は等速直線運動をすることを見いだすこと。
    (ウ) 落下運動についての観察、実験を行い、力の働く運動では、時
     間の経過に伴って速さが変わることを見いだすこと。
   ウ 仕事とエネルギー
    (ア) 仕事の実験を行い、仕事や仕事率についての理解するとともに、
     道具を用いても道具に与えた仕事以上の仕事はできないことを見
     いだすこと。
    (イ) エネルギーに関する実験や体験を通して、物体のもつエネルギ
     ーの量は物体が他の物体になしうる仕事で測られることを理解す
     るとともに、エネルギーについての認識を深めること。
   エ 科学技術の進歩と人間生活
    (ア) 日常生活では、科学技術の成果として様々な素材やエネルギー
     が利用されていることを知ること。
    (イ) 情報手段としてのコンピュータなどについて、その発展の過程
     を知ること。
 3 内容の取扱い
  (1) およそ、内容の(1)及び(2)は第1学年、内容の(3)及び(4)は第2学年、
   内容の(5)及び(6)は第3学年で取り扱うことを標準とする。
  (2) 内容の(1)については、次のとおり取り扱うものとする。
   ア アの(ア)については、身近な水溶液などを用いて調べ、基礎的な技
    能を身に付ける程度とすること。
   イ アの(イ)については、コロイドは扱わないこと。
   ウ アの(ウ)については、結晶の色や形も観察すること。また重量パー
    セント濃度にも簡単に触れるが、溶解についての計算には深入りし
    ないこと。
   エ イの(ア)については、密度にも簡単に触れること。
   オ イの(イ)については、混合物の状態変化には深入りしないこと。
      カ ウの(ア)については、異なる方法を用いても同一の気体が得られる
    ことも扱うこと。
  (3) 内容の(2)については次のとおり取り扱うものとする。
   ア アの(ア)については、全反射も扱うが、屈折率は扱わないこと。
   イ アの(イ)については、実像と虚像を扱うが、レンズの公式は扱わな
    いこと。また像の位置、像の大きさの関係を実験により定性的に調
    べること。
   ウ アの(ウ)の音の伝わる速さについては、空気中を伝わるおよその速
    さを扱う程度とし、気温などとの関係には触れないこと。
   エ イの(イ)については、物質の種類による温度変化の違いを水と比べ
    る程度とすること。
   オ ウの(ウ)については、帯電列には触れないこと。
  (4) 内容の(3)については次のとおり取り扱うものとする。
   ア アの(ア)については、有機物の燃焼にも触れること。
   イ アの(ア)及び(イ)については、化学変化には熱の発生を伴うことが
    あることにも触れること。
   ウ イの(ア)の「記号」については、指導上必要最小限のものにとど
    めること。
   エ イの(イ)の「化学式」の種類は、必要最小限にとどめること。ま
    た、「化学反応式」については、簡単な化学反応式が書ける程度とす
    ること。
  (5) 内容の(4)については次のとおり取り扱うものとする。
   ア アの(ア)の「回路」については、直列の回路及び並列の回路のみを
    取り上げ、それぞれについて二つの抵抗のつなぎ方を扱う程度とす
    ること。
   イ アの(イ)の「電気抵抗」については、物質の種類によって抵抗の値
    が異なることを扱う程度とし、合成抵抗の式は扱わないこと。
   ウ イの(ア)については、電力や電力量にも触れること。
   エ イの(ウ)については、レンツの法則、フレミングの法則は取り上げ
    ないこと。
  (6) 内容の(5)については、次のとおり取り扱うものとする。
   ア アの(イ)の「イオン」については、帯電粒子であることを扱う程度
    とし、原子の構造には触れないこと。
   イ アの(ウ)については、現象的に扱う程度とし、イオン化傾向は扱わ
    ないこと。
   ウ イの(ア)については、イオンの記号として、H+ 、Na+ 、CI- 、
        OH- 程度を扱うこと。
  (7) 内容の(6)については次のとおり取り扱うものとする。
   ア アの(ア)については、水中の物体に働く浮力や物体に働く重力と浮
    力の関係に触れること。アルキメデスの原理は取り上げないこと。
   イ イの(ア)については、物体に力が働くとき反対向きに力が働くこと
    にも触れること。
   ウ イの(ウ)については、いろいろな傾きの斜面に沿った運動も扱い、
    実験を通して規則性を定性的に見いだす程度とすること。
   エ ウの(ア)については、摩擦力に抗する仕事も取り上げること。
   オ ウの(イ)については、力学的エネルギーのほかに、熱、光、音、電
    気などのエネルギーも取り上げ、熱放射にも触れること。また、エ
    ネルギーは互いに変換し、その総量は保存されることに触れること。
   カ エの(イ)については、コンピュータの素子の発展の過程を取り上げ
    る程度とすること。

【第1分野】
 1 目標
  (1) 生物とそれを取り巻く自然の事物・現象の中に問題を見いだし、科
   学的に調べる過程を通して、規則性を発見したり、自然現象を説明し
   たりする方法を習得させる。
  (2) 生物や生物現象についての観察や実験を行い、観察・実験技能を習
   得させるとともに、植物や動物の生活と種類、生物のつながりなどに
   ついて理解させ、これらの事象に対する科学的な見方や考え方を養う。
  (3) 地学的な事物・現象についての観察や実験を行い、観察・実験技能
   を習得させるとともに、地球と太陽系、天気、大地の変化などについ
   て理解させ、これらの事象に対する科学的な見方や考え方を養う。
  (4) 生物とそれを取り巻く自然の事物・現象に対する関心を高め、意欲
   的に自然を調べる活動を行わせるとともに、これらの活動を通して、
   自然環境を保全し、生命を尊重する態度を育てる。
 2 内容
  (1) 植物の生活と種類
    身近な植物についての観察、実験を通して、生物の調べ方の基礎を
   身に付けさせるとともに、植物のつくりと働きを理解させ、植物の種
   類やその生活についての認識を深める。
   ア 植物の生活と体のつくり
    (ア) 校庭や学校周辺の生物の観察を行い、いろいろな生物が様々な
     場所で生活していることを見いだすとともに、観察器具の操作、
     観察記録の仕方などの技能を身に付けること。
    (イ) いろいろな植物の花の観察を行い、その観察記録に基づいて、
     花の基本的なつくりの特徴を見いだすとともに、それらを花の働
     きと関連付けてとらえること。
    (ウ) いろいろな植物の葉の観察を行い、その観察記録に基づいて、
     葉の基本的なつくりの特徴を見いだすとともに、それらを光合成
     や蒸散に関する実験結果と関連付けてとらえること。
    (エ) いろいろな植物の根や茎の観察を行い、その観察記録に基づい
     て、根や茎の基本的なつくりの特徴を見いだすとともに、それら
     を根や茎の働きに関する実験結果と関連付けてとらえること。
   イ 植物の仲間
    (ア) 花の咲く植物は、体のつくりの特徴に基づいて分類できること
     を見いだし、植物の種類を知る方法を身に付けること。
    (イ) 花の咲かない植物の観察を行い、その観察記録などに基づいて、
     それらの植物の特徴を見いだすこと。
  (2) 地球と太陽系
    身近な天体の観察を通して、地球の運動について考察させるととも
   に、天体としての月、太陽及び地球の特徴について理解させ、太陽系
   についての認識を深める。
   ア 身近な天体
    (ア) 月、太陽の観察を行い、その観察記録及び地球に関する資料な
     どに基づいて、月、太陽及び地球の特徴を見いだすこと。
    (イ) 天体の日周運動の観察を行い、その観察記録を地球の自転と関
     連付けてとらえること。
    (ウ) 四季の星座の移り変わり、季節による昼夜の長さ、太陽高度の
     変化などの観察を行い、その観察記録を地球の公転や地軸の傾き
     と関連付けてとらえること。
   イ 惑星と太陽系
    (ア) 星の観察を行い、その観察記録及び資料などに基づいて、惑星
     と恒星の違いを知るとともに、惑星の大きさや表面の様子にはそ
     れぞれ特徴があることを見いだすこと。
    (イ) 惑星の動きを観察し、その観察記録及び資料などに基づいて、
     太陽系の構造と惑星の公転を関連付けてとらえること。
  (3) 動物の生活と種類
    身近な動物についての観察、実験を通して、動物のつくりと働きを
   理解させるとともに、動物の種類やその生活について認識を深める。
   ア 動物の生活と体のつくり
    (ア) 身近な動物の観察を行い、植物と比較した動物の生活の特徴を、
     体のつくりと関連付けてとらえること。
    (イ) 血液の循環についての観察を行い、動物の体にはいろいろな物
     質を運搬する仕組みがあることを、観察の結果と関連付けてとら
     えること。
    (ウ) 消化や呼吸についての観察、実験を行い、動物の体には必要な
     物質を取り入れ、不要な物質を排出する仕組みがあることを、観
     察、実験の結果と関連付けてとらえること。
    (エ) 動物が外界の刺激に適切に反応している様子の観察を行い、そ
     の仕組みを感覚器官、神経系及び運動器官のつくりと関連付けて
     とらえること。
   イ 動物の仲間
    (ア) 脊椎動物の体のつくりや植え方などの特徴を、観察を基に比較、
     整理し、脊椎動物が幾つかの仲間に分類できることを見いだすこ
     と。
    (イ) 無脊椎動物の観察を行い、その観察記録に基づいて、それらの
     動物の特徴を見いだすこと。
  (4) 天気とその変化
    身近な気象の観察、観測を通して、天気変化の規則性に気付かせる
   とともに、様々な気象情報を活用した天気の予測の方法について理解
   させ、天気変化についての認識を深める。
   ア 天気の変化
    (ア) 校庭などで気象観測を行い、観測方法や記録の仕方などを身に
     付けるとともに、その記録などに基づいて、天気変化の規則性を
     見いだすこと。
    (イ) 霧や雲の発生についての観察、実験を行い、そのでき方を気圧、
     気温及び湿度の変化と関連付けてとらえること。
    (ウ) 前線の通過に伴う天気変化の観察結果などに基づいて、その変
     化を暖気、寒気と関連付けてとらえること。
   イ 日本の天気
    (ア) 天気図を作成し、気圧配置と風向、風力及び天気との関係を見
     いだすこと。
    (イ) 天気図や気象衛星画像などから、日本の天気の特徴を気団と関
     連付けてとらえるとともに、天気の予測ができることを見いだす
     こと。
  (5) 生物のつながり
    身近な生物についての観察、実験を通して、細胞のレベルで見た生
   物の体のつくり、親と子のつながり及び生物の進化について理解させ
   るとともに、自然界における生物同士のつながりについての認識を深
   める。
   ア 生物と細胞
    (ア) いろいろな細胞の観察を行い、生物の体が細胞からできている
     こと及び植物と動物の細胞のつくりの特徴を見いだすこと。
    (イ) 細胞分裂の観察を行い、その過程を確かめるとともに、細胞の
     分裂を生物の成長と関連付けてとらえること。
   イ 生物の殖え方と遺伝
    (ア) 身近な生物の殖え方を観察し、有性生殖と無性生殖の特徴を見
     いだすこと。
    (イ) 交配実験の結果の考察などに基づいて、親の形質が子に伝わる
     ときの規則性を見いだすこと。
   ウ 生物界のつながり
    (ア) いろいろな生物の特徴を比較し、生物同士の類縁関係を見いだ
     すとともに、生物が進化することを知ること。
    (イ) 微生物を働きを調べ、植物、動物及び微生物を栄養摂取の面か
     ら相互に関連付けてとらえるとともに、自然界では、これらの生
     物がつり合いを保って生活していることを見いだすこと。
  (6) 大地の変化と地球
    大地の活動の様子や身近な地形、地層、岩石などの観察を通して、
   地表に見られる様々な事物・現象を大地の変動と関連付けてみる見方
   や考え方を養うとともに、人間の生存の場としての地球について総合
   的に考察させる。
   ア 火山と地震
    (ア) 火山の形、活動の様子及びその噴出物を調べ、それらを地下の
     マグマの性質と関連付けてとらえること。
    (イ) 火山岩と新成岩の観察を行い、それらの組織の違いを成因と関
     連付けてとらえること。
    (ウ) 地震の体験や記録を基に、その揺れの大きさや伝わり方の規則
     性に気付くとともに、地震に伴う土地の変化や災害についての認
     識を深めること。
   イ 地層と過去の様子
    (ア) 地層の観察や記録を基に、地層のでき方を考察し、重なり方の
     規則性を見いだすとともに、地層をつくる岩石とその中の化石な
     どを手掛かりとして過去の環境と年代を推定すること。
    (イ) いろいろな地形の観察などを通して、大地が変動していること
     に気付くとともに、それを地球内部の働きと関連付けてとらえる
     こと。
   ウ 地球と人間
    (ア) 他の惑星との比較を通して、地球には生物の生存を支える様々
     な環境要因がそろっていることを認識すること。
    (イ) 人間が利用している資源やエネルギーには、天然資源、水力、
     火力、原子力などがあることについての認識を深めること。
    (ウ) 自然の開発や利用に当たっては自然界のつり合いを考えたり自
     然の保存や調製を行ったりするなど、自然環境を保全することの
     重要性について認識すること。
 3 内容の取扱い
  (1) およそ、内容の(1)及び(2)は第1学年、内容の(3)及び(4)は第2学年、
   内容の(5)及び(6)は第3学年で取り扱うことを標準とする。
  (2) 内容の(1)については次のとおり取り扱うものとする。
   ア アの「植物」については、被子植物を中心に取り上げ、裸子植物
    は簡単に扱うこと。器具を用いた観察では、細胞の構造などについ
    ては内容の(5)で扱うので深入りしないこと。
   イ アの(ア)の「生物」については、植物を中心に取り上げ、水中の微
    小生物についても簡単に扱うこと。
   ウ アの(イ)の「花の働き」については、受粉によって胚珠が種子にな
    ることを扱う程度とし、受精などは、内容の(5)で扱うこと。
   エ アの(ウ)については、光合成における葉緑体の働きにも触れるこ
    と。
   オ イの(イ)の「花の咲かない植物」については、代表的な仲間を2〜
    3取り上げ、花の咲く植物と対比させて扱うこと。
  (3) 内容の(2)については、次のとおり扱うものとする。
   ア アの(ア)の「月、太陽及び地球の特徴」については、形、大きさ、
    表面の様子などを取り上げ、太陽については、放出された多量の光
    による地表への影響にも触れること。
   イ アの(イ)及び(ウ)については、観察された事実を基に多様な考察を
    行わせるようにすること。
   ウ アの(ウ)については、太陽高度の変化に伴う気温の変化にも触れる
    こと。
   エ イの(ア)の「惑星」については、主な惑星を2〜3取り上げ、地球
    と対比させて扱うこと。「恒星」については、自ら光を放ち相互の
    位置を変えずに星座をつくっている天体であることを扱う程度とす
    ること。
   オ イの(イ)の「太陽系の構造」については、内惑星と外惑星の見え方
    の違いにも触れること。
  (4) 内容の(3)については、次のとおり扱うものとする。
   ア アの「動物」については、脊椎動物を中心に取り上げること。
   イ アの(ウ)の「消化」については、消化に関係する1〜2の酸素の働
    きを取り上げ、それらに対する温度の影響にも触れること。「呼吸」
    については外呼吸を中心に取り上げ、細胞の呼吸は、簡単に扱うこ
    と。血液の働きと関連付けて腎臓にも触れること。
   ウ イの(イ)の「無脊椎動物」については、節足動物や軟体動物を中心
    に取り上げること。
  (5) 内容の(4)については、次のとおり取り扱うものとする。
   ア アの(ア)の「天気変化の規則性」については、気温、湿度、気圧、
    風向などの変化と天気との関係について取り上げること。
   イ イの(ア)の天気図の作成については、等圧線を引き、気圧配置の様
    子を知ることに重点を置くこと。
   ウ イの(イ)では、気象に及ぼす海洋の影響についても触れること。
  (6) 内容の(5)については、次のとおり取り扱うものとする。
   ア イの(イ)については、一つの形質を扱うものとし、遺伝の規則性は
    遺伝子を想定して説明できることを扱うこと。
   イ ウの(ア)の生物の特徴の比較については、脊椎動物を中心に相同器
    官や発生初期の胚の類似性も取り上げ、生物の進化については、化
    石など進化の証拠にも触れること。
   ウ ウの(イ)については、生産者、消費者及び分解者の関連を扱い、土
    壌動物については簡単に扱うこと。
  (7) 内容の(6)については、次のとおり取り扱うものとする。
   ア アの(ア)の「火山」については、代表的なものを2〜3取り上げ、
    「マグマの性質」については粘性を中心に扱い、化学組成などには
    深入りしないこと。
   イ アの(イ)の「火山岩」及び「深成岩」については代表的なものを取
    り上げ、代表的な造岩鉱物にも触れること。
   ウ アの(ウ)については、地震の現象面を中心に取り上げること。初期
    微動継続時間と震源までの距離との関係も取り上げるが、その公式
    は取り上げないこと。
   エ イの(ア)については、地層を形成している代表的な堆積岩も取り上
    げること。「化石」については、示相化石及び示準化石を取り上げ
    るが、地質年代には深入りしないこと。
   オ ウの(ア)の「環境要因」としては、空気、水、土、太陽放射などを
    取り上げること。

第3 指導計画の作成と内容の取扱い
 1 指導計画の作成に当たっては、次の事項に配慮するものとする。
  (1) 各学年においては、年間、各分野にそれぞれおよそ等しい授業時数
   を配当すること。その際、各分野間及び各項目間の関連を十分考慮し
   て、各分野の特徴的な見方や考え方が互いに補い合って育成されるよ
   うにすること。
  (2) 第3学年において下限の時数を超えて授業時数を定める場合には、
   第2の内容について補充や深化を図るため、学校や生徒の実態に応じ、
   適切な指導を行うようにすること。
 2 各分野の内容の指導については、次の事項に配慮するものとする。
  (1) 観察、実験を重視するとともに、地域の環境や学校の実態を生かし、
   自然を科学的に調べる能力の育成及び基本的な概念の形成が段階的に
   無理なく行われるようにすること。
  (2) 生命の尊重や自然環境の保全に関する態度が育成されるようにする
   こと。
 3 観察、実験、野外観察の指導については、特に事故防止について十分
  留意するとともに、使用薬品の管理及び廃棄についても適切な措置をと
  るよう配慮するものとする。
 4 各分野の指導に当たっては、観察、実験の過程での情報の検索、実験
  データの処理、実験の計測などにおいて、必要に応じ、コンピュータ等
  を効果的に活用するように配慮するものとする。
 5 第3学年における選択教科としての「理科」においては、生徒の特性
  等に応じ多様な学習活動が展開できるよう、第2の内容について、課題
  研究、野外観察などの学習活動を学校において適切に工夫して取り扱う
  ものとする。